事例一覧北海道旅客鉄道株式会社
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地震の体験から迅速な復旧と強化を図るために
「安否確認サービス2」を導入したJR北海道

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JR北海道総務部 総務グループの井勝慎介氏
社名
北海道旅客鉄道株式会社
北海道旅客鉄道株式会社(以下「JR北海道」と称する)は札幌市に本社を置き、北海道を中心に旅客鉄道事業を行っています。北海道と一口に言っても、その面積は関東地方全体の2.5倍以上。国で言うとオーストリアとほぼ同じ広さとなっています。1つの都道府県ですが、端と端ではとても離れているのです。そうなると、災害時の安否確認を行うのも容易ではありません。
JR北海道では大規模災害に備え、安否確認ツールの導入を検討していましたが、その最中にあった2018年9月6日、北海道胆振(いぶり)東部地震が起きました。マグニチュードは6.7ですが、最大震度は最高の「7」。この時、社員全員の確認が取れるまで多くの時間を要したことから、安否確認ツールの重要性を再認識し、『安否確認サービス2』を導入しました。
今回、社会のインフラを担うJR北海道が『安否確認サービス2』を選んだ経緯や理由を、JR北海道総務部 総務グループの井勝慎介氏にお話を伺いました。

北海道胆振東部地震発生時には、社員の安否確認に多くの時間を費やしていた

JR北海道では、以前から震度5強以上の地震が起きたときには社員の安否を確認する、という社内ルールがありました。そのため、2018年に胆振東部地震が発生した時も、確認を行うことになりました。JR北海道は全道各地に事業所があるため、電話などを使った人海戦術で社員の無事を確認することになりました。

井勝さん:「(JR北海道には)約7500人の社員等が在籍し、道内に約190箇所の事業所があります。まずは、それぞれの事業所で社員の安否を確認し、管理部門へ報告します。我々総務部は各管理部門から報告を受けるという情報伝達経路です。しかし、当時は停電の影響により、時間の経過と共に携帯電話がつながらなくなっていきました」

井勝氏をはじめとする総務部の担当者には、全道の被害状況や鉄道の運行再開に向けた様々な情報を集約する役割もあるのですが、安否情報の集約に時間を要する結果となりました。

井勝さん:「地震発生当日は安否確認にかなりの労力を使っていました。その労力を軽減することができれば、別の業務を進められます。また、安否を報告する社員としても、通信手段が限られる中で大変な思いをしたはずです。そのため、安否確認業務をサポートするシステムの導入に向け、本格的に検討を始めることになりました」

安否確認システムに求めたのは柔軟な地域分けと簡単な操作性

そこで安否確認を行う部署のメンバーでシステムの導入に向けた調査を開始しました。井勝氏が安否確認システムで導入の決め手とした要件は大きく2つです。
まず1つ目の決め手は、わかりやすくシンプルな操作性です。JR北海道は社員数が多く、年齢層も幅広いため、ITに詳しくない人でも利用できることが重要です。たとえ、マニュアルがあっても非常時には読んでいる暇はありません。誰でも簡単に返信ができる、ということを重視したそうです。

送信された安否確認メールのリンクをタップし、質問に回答するだけというシンプルさとわかりやすさが決め手となりました。
送信された安否確認メールのリンクをタップし、質問に回答するだけというシンプルさとわかりやすさが決め手となりました。

ちなみに、道内のみならず、東京と仙台にも事業所があります。また、青森県の一部もJR北海道の管轄となります。北海道新幹線の新函館北斗駅から新青森駅まではJR北海道の事業エリアであり、もちろんここも安否確認の対象拠点となります。

井勝さん:「北海道はとても広いため、北海道全体を1つの送信エリアとすると、大きく揺れなかったエリアの社員に対してもメールが送信されることになります。エリアが細分化されていることで安否確認すべき対象に絞って情報配信できるというのがすごく魅力的でした」

2つ目の決め手は、「メール送信エリアが細分化されていること」だったとのことです。広大な北海道では、あるエリアで大規模な地震が発生したとしても、別のエリアではほとんど揺れないことがあるのです。

井勝さん:「弊社では、本社のある札幌、支社のある釧路、旭川、函館と事業エリアを大きく4つに分けて管理しています。安否確認のルールもこの事業エリアを基本に作られているため、弊社のルールに沿って運用できるシステムを探しました」

比較した他社の安否確認ツールでは、エリア区分がJR北海道の事業エリア区分と合致しませんでした。その点、『安否確認サービス2』は北海道を38エリアに区分できます。細かく分れているので、パズルのように組み合わせることで、望んでいる区分に近い形で設定ができました。
加えて、社内の社員データをCSVでインポートして設定を変更できる点も気に入りました。もちろん、コスト面でも満足してもらえたようです。

災害発生地域は、北海道内38のエリアから設定することができます。
災害発生地域は、北海道内38のエリアから設定することができます。

実際に発生した地震で、想定通りに動作したことを確認

2021年4月に『安否確認サービス2』を導入して以来、北海道内で大きな地震は発生していませんが、同年5月と2022年3月に仙台地区で、10月に東京地区(千葉)で震度5強以上の地震が発生した際は、『安否確認サービス2』で社員の安否確認を行いました。

井勝さん:「弊社は2021年4月末に『安否確認サービス2』を導入したのですが、その直後の5月1日に宮城県沖で地震が起きたというニュースを見た時には、社員の安否に加え、きちんとメールが送信されているだろうか、仙台の事業所に在籍する社員からきちんと返信があるだろうか、などがすごく気になりました」

結果、事前に設定した対象者に絞ってメールが送信され、比較的速やかに返信してくれたそうです。また、同年10月と2022年3月に発生した地震の際にも、送信、返信ともにほぼ問題ありませんでした。

10月に千葉県で発生した地震の際に送信された一斉送信の概要です。
10月に千葉県で発生した地震の際に送信された一斉送信の概要です。

毎年9月に独自の防災訓練を行っており、2021年は『安否確認サービス2』を使用して安否確認の訓練を行ったそうです。大規模地震が発生した際にはどのようにメールが送信されるのか、安否確認者はどのように社員からの返信状況を確認するのか、といった点を再確認できたとのことです。

独自で行った防災訓練の結果を一覧で確認することができました。
独自で行った防災訓練の結果を一覧で確認することができました。

他方、事前に訓練することを告知していたものの、実際に届いたメールを見て、本当に返信していいのかどうか、と戸惑った人もいたそうです。そのため、今後も年に1度は訓練を行い、『安否確認サービス2』を有効活用していきたいとのことです。

最後に、今後について伺いました。

「弊社は、鉄道という重要なインフラを担う公共交通機関として、災害発生時にはご利用いただくお客様のため、少しでも早く復旧させなければならないという使命を持っています。復旧作業に携わる社員ひとりひとりの力を結集する必要があるので、社員の安否確認は最優先で行う業務となります。『安否確認サービス2』を有効活用できるように、今後もしっかりと取り組んでいこうと思います」と井勝氏は締めてくれました。

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